⚠この記事にはネタバレが含まれています⚠
宮崎駿監督の長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』(英語題名The Boy And The Heron)が2024年2月の米アニー賞二冠に続き、さらに英国アカデミー賞のアニメ映画賞を受賞しました。
そして2024年3月、米アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞!!
『千と千尋の神隠し』に続き23年ぶり2度目の受賞、おめでとうございます!
他にも2024年1月、既に米国ゴールデン・グローブ賞の「アニメ賞」も受賞しています。
日本国内でも大ヒットし、「日本アカデミー賞」のアニメ映画部門で最優秀アニメーション作品賞に輝きました!
皆さんはもう観られましたか?
実は、『君たちはどう生きるか』の日本国内での評判は二極化しています。
そこで前半では本作品の日本での否定派・肯定派それぞれの意見を見ていきます。
双方の見方を知ることでより作品の理解が深まり、さらに本作品の面白さを知ることができるでしょう。
また後半では海外で人気の理由を解説していきます。
『君たちはどう生きるか』国内ファンの感想
実に10年ぶりの宮崎駿監督カムバック作品となる『君たちはどう生きるか』。
ネットから映画を観た人の感想を拾い上げてみました。
まずは本作品に対するネガティブな意見を見ていきましょう。
私自身今回の映画では、途中で頭での整理や理解が追いつかなくなり、集中力が切れて中盤寝落ちし、残念な思いをした一人です(言っておきますが、私はジブリ作品のファンです泣)。
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ネガティブな意見
- 『君たちはどう生きるか』原作本と全く関係のない内容だった。このタイトルを使うべきではなかったのではないか。
- 途中からストーリーについていけず、青サギの存在に?マークが飛び交い、爆睡
- あまりにもストーリーがどうでも良すぎて隠された意味も気にならなかった。アニメーション表現は惜しみなく出されていて百点。ファンだが今回はハマらなかった。頭を冷やしてからもう一度観てみようかと思う。説明がなさすぎて消化不良。
- 主人公が思ったより態度が悪い。あの石の積み木はどれだけ重要?起承転結ハッキリしない。何を伝えたかったのかわからない。
- 自叙伝でなく王道のボーイミーツガールを期待。
- 分かる人には分かる、みたいな映画はダメだと思う。とにかくちぐはぐな映画だった。唯一良かったのは背景画の美しさだけだった。
- 全然意味わからないし面白くない。私には全く理解できなかった。30年後に見れば理解できるのかな。
- 話を追いながら、睡魔に襲われた。いずれにせよ、あまりよくわからない内容だった。
なるほど、こうして眺めてみると、「同感」と感じる意見が多いです。
本作品は従来のジブリ作品と違い、わかりにくいストーリーだったと私は感じました。
セリフも象徴的で暗喩が多く、場面転換もジェットコースターのように超特急で、今のは何だったのかと考えるうちにもう次の場面が始まる。
消化不良のまま、次から次へと場面が転換していくことにイライラしてしまったという意見は同感。
しかし、当然ジブリ制作陣は観客のこういった否定的な反応は想定していたはず。
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批判されるのを承知で、あえてこの構成を選んだということには、なんらかの意図があったはずです。
わからなければわからないほど、人はその意味を知りたいと思うものです。
これまでのようなわかりやすいエンターテイメントを期待して観た観客が1回目の鑑賞で失望し、それでも理解したいという思いでもう一度観たり、後追いで過去作品に立ち返ったりすることで何倍も楽しめるような仕掛けがあるのではないか、という気がしてきました。
そう考えると、本作品はとんでもなく怪物的なすごい作品ですよね?!
宮崎駿監督の狙いは、そういうことだったのではないか、と否定的な意見をまとめていくうちに私個人としてはだんだん腑に落ちてきたところです(あくまで個人的見解です)。
では、次に肯定派の意見を見ていきましょう。
肯定派の意見
- 出足からスクリーンにくぎ付けになったのは言うまでもないことだが、序盤から中盤、中盤から終盤へと向かうなかで、全く読めない展開が脳内を活性化させてくれてすこぶる気持ち良い。
- まず、この作品は楽しませる、売れるという目的で作られていない。完全なる宮﨑駿のエゴの集大成である。なぜなら、この作品自体が彼の頭の中を表しているからだ。この作品は、宮﨑駿は始めて自分の頭の中の世界観を思う存分おもねることなく、表現した初めての作品なのだ。宮﨑駿は、本作で何かを伝えようとしていない。彼は本作で、「私はこう生きた。」という自省録を描いただけ。そして、彼はその後こういうのだ。「君たちはどう生きるか?」
- アートして鑑賞するだけで、見たまま、感じたままをそのまま受け取るだけで、こんなに面白く感じるとは思わなかった。もちろん2回目ということもあるし、岡田斗司夫ゼミのプレミア解説まで聞いているということもある。一番参考になったのは、村上隆が示したヒント。ベックリンの「死の島」。この絵をしばらく眺めているうちに、無性にもう一度見たくなった。「死の島」の意味は、漠然としかわからなかったが、宮崎駿の絵の力に引き込まれただけでよしとしよう(注:2回鑑賞した方の感想です)
追記
2回目の鑑賞ポイント
①ベックリン『死の島』との関連性
②キリコの部屋のワンピース。高そうでオシャレなワンピースが2種類ある。
③ワンピースの隣に掲げられているトルメキアの旗。
④菅田将暉演じる青鷺。七色の声。
⑤インコのフンまみれ=金まみれ
⑥大叔父=アインシュタイン=科学の負の側面
⑦ラノベ異世界ハーレム構造(夏子、キリコ、ヒミ)
(なお、ネガティブな意見、肯定派の意見ともに、映画com.のページから引用・編集させていただきました)
肯定派の方々の意見はどれも長文で、熱のこもった職人的コメントとも言えるもの。
やはり1回見ただけではわからず2回目を見た方、いらっしゃいますね笑
今後作品を見るためのポイントを示してくださっているのが、とても参考になります。
肯定派の意見をまとめると「今回の映画で宮崎駿監督は観客に媚びることなく、脳内のイメージを伸び伸びと思うがままに表現したのだ」という解釈に落ち着くのではないでしょうか。
鈴木敏夫プロデューサーによるネタばらし
「この物語の主人公眞人(まひと)は宮崎駿監督自身がモデル」であることを監督ご本人が、「青サギは鈴木プロデューサー」であると鈴木敏夫プロデューサーご本人が雑誌『SWITCHジブリ特集号』の中で明かしています。
また「大叔父は宮崎駿監督の盟友の故高畑勲監督」であることも明かしています。
アニメーション制作の世界で、高畑監督が宮崎駿監督を抜擢して以降の人生の道筋をつけてくれたことから、「大叔父が眞人に今後の生き方を示してくれる話」が映画の構想として浮かんだということ。
また、鈴木敏夫プロデューサーは、青サギ屋敷は「ジブリ」ではないか、と考察していることをとりあげ、この作品はジブリを含めて宮崎駿監督が人生を歩き直そうとしている作品なのだと雑誌『SWITCH』の記事は結論づけています。
おそらく真実は一つではないと思います笑
物語の真実は映画を観たそれぞれの人の心に委ねられています。
ちなみに、パンフレットに書かれている内容は、作品解説と称した物語のあらすじ(‘生と死の象徴’など、作品理解の補助となるキーワードはふんだんにそこにある)や、鈴木プロデューサーの企画覚書、そして映画主題歌『地球儀』(作詞・曲米津玄師)の歌詞のみ。
あとは宮崎駿監督の手による貴重な絵コンテ、そして映画のスチール画がふんだんに贅沢に掲載されています。
私はその後もう少し映画の内容を理解したいと思い、三鷹の森ジブリ美術館公式ページで 「『君たちはどう生きるか』公式ガイドブック」を購入。
パンフレットは登場人物を演じた俳優さん、主題歌を歌った米津玄師さん、音楽担当の久石譲さん他、映画『君たちはどう生きるか』制作に関わった多くの方々のインタビュー記事を読むことができる、本当に贅沢な1冊です。
映画が何を描こうとしていたのかについては、「宮崎駿監督による作品説明」のページを読むとよく理解できると思います。
『君たちはどう生きるか』海外で人気の理由
米国でも2023年12月に公開されましたが、米国でのタイトルは『The Boy and the Heron』(少年と青サギ)。
この原題と全く違う海外版タイトルの仕掛人は鈴木敏夫プロデューサーだと聞いています。
『君たちはどう生きるか』(How Do You Live?)という言葉自体は映画のストーリーと無関係。小説の映画化と勘違いされないよう、わかりやすいものに変更したようです。
アメリカ人はストレートな少年の成長物語として鑑賞している人が多いとのこと。
同時に圧倒的な力強いアニメーションやめくるめくイマジネーションの具現化に「これが老齢の映画作家の作品なのか」と驚きと感動を持って受け入れられています。
実はダークファンタジー好きの方から評価の高いアイルランド出身の作家、ジョン・コナリーによって書かれた『失われたものたちの本』。
舞台は第二次世界大戦中のイギリスですが、12歳の少年が病気の母を亡くし、父の再婚相手の屋敷へ引っ越してから身に起こる数奇な体験が描かれるというこの物語。
国は違えども本作品とほとんど舞台設定が同じですね。
なんと日本語版の帯は宮崎駿監督が書かれているのです。
私はこの本の内容を知らないので何とも言えませんが、読者が多いと思われるイギリスやヨーロッパの方たちは感じるところが多かったに違いありません。
本作品から『不思議の国のアリス』を連想したウォッチャーもいるようです。
シュールなもの、またファンタジックなものを好んで素直に受け入れて楽しむのは、妖精やゴブリンにまつわる伝説の多いヨーロッパの文化的背景も大きいと思われます。
まとめ
ネットでの映画『君たちはどう生きるか』に対する感想や意見を今回いろいろと集めてみました。
もちろん、どの見方が正解!というわけではないのですが、一つの作品について他の人のさまざまな見解にふれると、「そのような見方もあったのか!」と自分が気づかなかった視点が見つかり、とても楽しい作業となりました。
そして、これだけ賛否両論を集めた本作品、改めてスゴイ作品だと思います。
2023年7月に公開されて以来ロングランを続けてきた『君たちはどう生きるか』。
1度上映を終えましたが、3月に米国アカデミー賞、日本アカデミー賞を受賞したことによって、ほとんどの映画館で上映が再開されていて嬉しい限り!
チャンスがあれば1度見た人もぜひもう一度ご覧になってはどうでしょうか。
また本作品の新たな魅力に気づけるかもしれませんよ!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
またのご来店をお待ちしております。
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